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「卒FIT」で太陽光発電の個人間電力取引、「良いと思う」が半数 民間調査

  昭和シェル石油(東京都港区)とソーラーフロンティア(同)は11月6日、住宅用太陽光発電の固定価格買取制度(FIT制度)による買取期間の満了者(卒FIT)が2019年から現れることを受け、電力の個人売買について消費者へ […]

 

昭和シェル石油(東京都港区)とソーラーフロンティア(同)は11月6日、住宅用太陽光発電固定価格買取制度(FIT制度)による買取期間の満了者(卒FIT)が2019年から現れることを受け、電力の個人売買について消費者への意識調査を実施したと発表した。

同調査は、個人間で取引できるシェアリングエコノミーの普及や個人による電力売電への認知度、再生可能エネルギーに由来する電力などの観点から、「電力プロシューマー(電力生産消費者)」への期待について行われた。

実施時期は2018年10月中旬。調査方法はインターネット調査。調査対象は20代~60代の男女1,112人(学生を除く・年代別の均等割り付けを実施)。

なお、プロシューマーとは、「producer」(生産者)と「consumer」(消費者)を組み合わせた造語で、「つくる側にも、提供する側にも関わる消費者」(生産消費者)のことを指す。

同調査の結果の概略は次の通り。

電力の売買、約半数が「良いと思う」

2019年12月以降、「卒FIT」により電力の売電先が広がることや、将来的に一般家庭にも直接売買できることを知っていた人は39.8%。

余剰電力を活用して、電力プロシューマーになること(太陽光発電で発電した電力を自家消費、自らの判断で販売先を選定すること)について、「とてもよいことだと思う」(24.5%)と「よいことだと思う」(30.2%)の合計は54.7%で、過半数が肯定的。

その理由としては、「太陽光で使い切れない電気を有効活用できそうだから」(57.1%)がもっとも多く、「環境にやさしい電力を広げられそうだから」(56.4%)、「節電、省エネの意識が高まりそうだから」(40.3%)が続き、環境に関する回答が上位となった。

電力のプロシューマー調査

 

電力のプロシューマーから電力を購入すること(自身の家庭で他の家庭が太陽光発電設備で発電した電気を購入できるようになること)については「とてもよいことだと思う」(18.7%)、「どちらかというとよいことだと思う」(29.4%)の合計は48.1%だった。

その理由としては、「電気料金が安くなりそうだから」(57.8%)、「環境にやさしい電力など購入の選択肢が増えそうだから」(53.6%)、「太陽光で使い切れない電気を有効活用できそうだから」(48.6%)が上位となっている。

電力の個人間売買、利用意向は約4割

家庭同士で電力を直接取引でき、生産者が分かるサービス(電力のCtoC)の利用意向について聞いたところ、「ぜひ利用してみたい」(13.5%)、「どちらかというと利用してみたい」(26.9%)と答えた人の合計は40.4%。もっとも多かったのは、「どちらともいえない」(41.5%)で、制度の整備や技術の発展が期待される。

自身の家庭で、住宅用太陽光発電設備で得た電力を自由に売れるとしたら、「どこに売りたいですか?」という問いに対しては、「民間企業」(42.1%)が最多で、「一般家庭」(33.0%)、「観光庁・公的機関」(29.0%)が続いた。

 

2019年11月の「卒FIT」は約53万件

経済産業省は、2019年11月には、住宅用太陽光発電において、10年間にわたる余剰電力の価格買取期間が満了する約53万件のいわゆる「卒FIT」が発生すると試算している。

卒FITを迎えた太陽光発電設備の所有者は、様々な手段を通じて太陽光発電で作られた電気の価値の最大化を図ることになる。今後、増加する卒FITの間で、電力の自家消費が進む一方、電力の生産者(プロデューサー)でありながら消費者(コンシューマー)でもある「電力プロシューマー(生産消費者)」として、企業向けや一般消費者向けに余剰電力を販売する流れが加速すると見られている。

この調査では、こうした背景を踏まえ、個人間で取引できる「シェアリングエコノミー」の利用や「プロシューマー」の経験についても調べている。

再エネの主力電源化に向け、新ビジネスモデルを

この調査結果を踏まえ、ソーラーフロンティアはモジュールメーカーとして、引き続き競争力あるシステムコストの提供に努めるとともに、蓄電池・住宅・自動車(EV)メーカーとの連携を強めることで、自家消費ソリューションの提案を行っていくとした。

また、昭和シェル石油グループは、ソーラーフロンティアの手掛ける太陽光発電、昭和シェル石油の電力小売・発電事業において培ってきた経験・ノウハウを結集しシナジーを追求することで、再生可能エネルギーの主力電源化と分散型エネルギー社会の実現に向けて、グループ全体で新たなビジネスモデルの確立に向けて準備を進めていく。


昭和シェル石油は、他社とのパートナーシップを通じて先進性の高い事業分野やテクノロジーの開発に積極的に参入している。直近では、電源の分散化を加速させるブロックチェーン技術を活用した相対(P2P)の電力取引を早期に実現するため、東京電力グループのTRENDE(東京都千代田区)へ出資した

 

※環境ビジネスオンライン2018/11/7掲載 参照