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2017年1月~12月、太陽光発電関連企業の倒産件数88件

東京商工リサーチ(東京都千代田区)は、2017年(1~12月)の「太陽光関連事業者」の倒産が、件数・負債ともに過去最多を記録したと発表した。これは太陽光関連業界の落ち込みを示す結果となった。 倒産件数は前年比約1.4倍の […]

2017年1月~12月、太陽光発電関連企業の倒産件数88件

東京商工リサーチ(東京都千代田区)は、2017年(1~12月)の「太陽光関連事業者」の倒産が、件数・負債ともに過去最多を記録したと発表した。これは太陽光関連業界の落ち込みを示す結果となった。

倒産件数は前年比約1.4倍の88件。調査を開始した2000年以降で最多だった2016年(65件)を大きく上回り、3年連続で過去最多を更新した。

負債総額は前年比約1.2倍の285億1,700万円で、4年連続で前年を上回った。負債総額は2015年に200億円台を越えたが、2017年は負債額「10億円以上」の倒産が6件(前年3件)と倍増した。

倒産件数は上半期で2015年に迫る水準に

倒産は、上半期(1~6月)だけで、前年同期比約1.6倍の47件発生し、2015年の年間件数(54件)に迫る水準となった。下半期(7~12月)は、上半期よりペースは若干鈍化したが、前年同期比約1.2倍の41件で、通年で増大する勢いとなった。

最大の大型倒産はZEN POWERの負債額52億円

負債額別にみると、最も多かったのは「1億円以上5億円未満」で30件(構成比34.0%)だった。2017年の最大の大型倒産はZEN POWER(福岡県)で負債額は52億円。太陽光発電モジュールの組立、販売を手掛けていたが、大口焦付や欧州でのモジュール価格の下落、国内の買取価格の引き下げなどで受注が大幅に落ち込み、2017年4月に福岡地裁から破産開始決定を受けた。

原因は「販売不振」がほぼ半数

原因別では、「販売不振」が最も多く42件(構成比47.7%)とほぼ半数を占めた。次いで、「事業上の失敗」が13件(同14.7%)、「既往のシワ寄せ」が9件(同10.2%)と続く。前年との比較で増加が目立ったのは、「売掛金回収難」(1→4件)と「既往のシワ寄せ」(4→9件)だった。

たとえば、ISHIO(和歌山県)は住宅向けリフォーム、太陽光発電装置の設置工事などを手掛けていたが、リフォーム工事で回収不能(売掛金回収難)が生じ、資金繰りが逼迫し、2017年6月に和歌山地裁から破産開始決定を受けている。

倒産は2018年も引き続き高水準で推移と予想

2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)が導入され、太陽光関連市場は急速に拡大した。しかし、度重なる買取価格の引き下げや、新規参入による事業者の乱立、太陽光以外の再生可能エネルギーへの緩やかな政策誘導などで状況は一変。太陽光関連事業者の淘汰が進んでいる。

同レポートでは、主な事例を踏まえ、太陽光関連事業者の倒産は、成熟市場のプレイヤーが業容拡大を求めて参入したものの、ノウハウ不足や安易な事業計画で経営が立ち行かなくなるケースが目立つと指摘する。

経済産業省は太陽光発電コストのさらなる低減を図るため、2017年度は出力2MW以上の太陽光発電設備から買い取る電気の価格に入札制度を導入した。また、住宅用(10kW未満、出力制御対応機器設置義務なし)の買取価格は、毎年度引き下げ、2019年度に24円/kWhになる予定だ。

同レポートでは、太陽電池モジュールや架台、設置工事の値下げ圧力は加速しており、技術革新や工法の最適化などで市場ニーズに合った単価で製品・サービスを提供できない太陽光関連事業者の淘汰は、今後も避けられないとみている。このため、太陽光関連事業者の倒産は2018年も引き続き高水準で推移する可能性が高いと予想している。