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なんと36%が「分割案件」の恐れありだった 総務省のFIT制度改善勧告

総務省は9月29日、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度の運営に関する実態調査」の勧告(2015年9月勧告)に対する経済産業省からの2回目の改善措置状況回答(フォローアップ)を受け、その概要を取りまとめ公表した。なお、 […]

総務省は9月29日、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度の運営に関する実態調査」の勧告(2015年9月勧告)に対する経済産業省からの2回目の改善措置状況回答(フォローアップ)を受け、その概要を取りまとめ公表した。なお、1回目のフォローアップは、2016年8月に行われた。

同調査結果に対して、2015年9月に総務省が行った勧告と、これに対する1回目のフォローアップも踏まえた改善措置状況は、下記の通り。

なんと36%が「分割案件」の恐れありだった

2015年の調査結果では、32,813設備のうち、4%にあたる1,451設備が禁止している「分割案件」として認定されているおそれがあった。分割案件とは、発電設備を分割し、一定規模以下の設備として認定申請するもので、2014年度から原則禁止されている。これを受け、発電設備の認定時・変更届出時に、「分割案件」に該当しないという確認を徹底することを勧告した。

これに対して経済産業省は、2015年12月以降、過去の認定済設備と申請中の全設備の情報との突合せできるシステムの導入により、太陽光発電協会(東京都港区)の代行申請センター(JP-AC)が「分割案件」に該当しないことの確認を徹底し、「分割案件」のおそれがある全案件に対し、証明書類の提出や、分割を解消した上での再申請を求め、確認を徹底するという措置を講じた。

結果として、「分割案件」のおそれがあると判断された申請数は、2016年12月から2017年1月までは52,058件の申請のうち、19,004件(36.5%)だった。JP-ACは、「分割案件」のおそれがあると判断したすべての申請について、上記と同様の措置を講じた。

また、認定取得後、軽微変更届出を行い、設置場所等を変更する場合についても、同様の措置を講じた。これにより「分割案件」のおそれがあると判断された届出数は、2016年12月から2017年1月までは16,088件の軽微変更届出に対して664件(4.1%)であった。

電力会社への接続費用、透明性確保が完了

電力会社が太陽光発電事業者に請求する工事費負担金内訳の提示が不十分(調査対象161設備のうち、15設備が内訳の提示なし、37設備が内訳の提示が不十分)であると判明した。

これに対し総務省は、政府が示した提示方法によって工事費負担金内訳を提示するよう、経済産業省が電力会社に指導する必要があると勧告した。

この勧告に経済産業省は、1回目のフォローアップで上記提示の徹底を各電力会社に指示し、必要な措置を講じてその結果を報告することを要請した。各電力会社は、それぞれの管内事業所に対し2016年1月までに周知を行ったと回答した。

その結果、各電力会社が2016年4月1日から9月30日までに工事費負担金を提示した案件の合計100件をサンプリングしたところ、すべての案件が規定の提示内容だった。

買取財源の不足は解消、算定方法は精緻化したものが反映

まず、総務省による2015年の調査結果は、下記の通りだった。

  • 再生可能エネルギーの買取実績が見込みを上回り、買取りに必要な財源が不足したため、金融機関から借入れを行い、財源に充当
  • 借入れに伴う利息などは電気使用者の賦課金に上乗せ(2015年3月末時点までの累計で約8.6億円)。電気使用者の費用負担が増加

総務省は、上記について買取電力量の見込みをより精緻化するなど、必要な措置を実施するよう経済産業省に勧告した。

この勧告を受け、経済産業省は2016年度の賦課金単価について、算定方法を見直した。その結果、費用負担調整機関の借入金の借入れは、2017年2月に解消した。この算定方法は2017年度にも採用された。

固定価格買取制度の実態と関係行政の改善を目的に実施

上記のほか、今回の公表では「費用負担調整業務の収支予算書の認可」などについて経済産業省の対応について概要を取りまとめている。

「再生可能エネルギーの固定価格買取制度の運営に関する実態調査」は、経済産業省を対象機関とし、2014年12月~2015年9月に実施された。再生可能エネルギーの導入が進むに従い、電気使用者の負担は年々増加しており、2015年度における電気使用者への賦課金総額は約1兆3,222億円が見込まれた。

このような状況を踏まえ、同調査は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の運営に関する実態を明らかにする観点から、発電設備の認定状況、電力系統への接続状況、固定価格買取制度にかかわる収支状況、費用負担調整業務の実施状況を調査し、関係行政の改善に資することを目的とし行われた。

 

【参考】